転機となった最新刊 加藤智見先生
2017年 05月 08日 (月) 10:13 | 編集
プロフィール:加藤智見(かとう・ちけん)一九四三年生まれ。
真宗大谷派名古屋教区光専寺住職、東京工芸大学名誉教授。最新刊に『親鸞聖人に学ぶ新しい老い方』(法藏館)。その他、著書多数。

転機となった最新刊

 愛知県一宮市にある、真宗大谷派光専寺。加藤智見先生は、同寺の住職を長年務める傍ら、東京工芸大学でも教鞭をとってこられた。東京と愛知を行き来する中で、一般の方にも宗教を分かりやすく伝えるべく、何点もの著作を発表されてきた。
 今はお寺に専念されている。月参りに行くと、御門徒さんとの会話の中で必ず出る話題として、「老病死」があるという。地元に住まう高齢の御門徒さんにとっては、病気にかかった際の手助けや「もしも」の時に誰に相談すれば良いか、切実な問題になっているという。そんな問題に、宗教はどう応えるのか……そこで上梓されたのが『親鸞聖人に学ぶ新しい老い方』(法藏館)だ。しかし、この最新刊が、先生最大の転機の書となった――。

刊行後に、「告知」を受ける。

 この最新刊が出版されたのは、九月末。長い校正を経てようやく完成した喜びもつかの間、急に体調をくずしてしまう。入院の上、精密検査を受けると、ガンが見つかり、急遽手術することに。「幸い早期発見でした。手術すれば、復帰可能であろう、とのことで、早いうちに切除してもらうことにしました。これまで大病を患ったことがなく、こういう病気の苦しみを経験するのは初めてのことだったんですが、病名を告げられた時、妙に冷静に聞けたのが、自分でも意外でしたね。そのわけを考えてみると、老いの悩みの原因に死が間近に迫ってくること、そして死の本当の意味がわかっていないことがあると思いますが、私は死は浄土に生まれ新しいいのちをいただくこと、絶望ではなく聖人のおっしゃるようにむしろ「喜ぶべきこと」であると、この書で一生懸命書いてきたため、あまり動揺しなかったのだと思います」。

「いのち」の大切さを、身をもって実感する日々

 普段通りの日常ではない毎日となり、戸惑われることも多いのではないだろうか。「むしろ、そうなったことで「いのち」の大切さを実感する機会となりました。私はお寺の出身でしょう。だから、元々「生死」の問題については身近なものだったし、それに、人間はいつかは亡くなります。この亡くなるということも仏さまによって浄土に生まれ、新しいいのちをいただいて生き続けることですから、決して恐れることでも悲しむことでもないのです。今回の出来事を通して、老いや病や死について、理論や理屈ではなく、身をもって経験出来たのが有り難かったです」と語る先生。何よりも、老病死をいかに生きるかを説いた本書の説得力が幾重にも増している。是非ご一読をお勧めしたい。
加藤智見先生写真
現在の心境を、穏やかな表情で語られる加藤先生。一時退院中のインタビュー、有り難うございました(ご自坊の光専寺にて)。
141『ひとりふたり‥』 2017 お正月号「著者に会いたい」に掲載
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