地図のない仕事と売れない本
2017年 02月 13日 (月) 15:54 | 編集
先週は、2件、出版のご相談を受けた。
どちらも地図のないところを踏査し、誰も知らないことを調べるという
まだ誰もやっていないご研究(踏査)のお話であった。
実際のお会いして、そのお原稿を前にし、その途方もない迫力にただただ感嘆した。

出版の価値はいろいろあると思う。
時代の最先端を切ってみせるベストセラーになるような話題書もあれば、
読者が500人にも満たないような地道な研究成果を示す本もある。
地道な踏査や調査報告や翻刻作業などなどの研究成果がピラミッドの底辺だとしたらば、
それを元に論を展開する研究書がその上に乗っかり、
それを一般知識人向けに編み直した準学術書が生まれ、
そして、それらの研究成果をたぐいまれな才覚で
一般書を書き上げる著者もおられるだろう。
そして、そのどれもに出版の意義があるのだ。

しかし残念ながらピラミッドの基底となる研究書は必ずしも売れるとは限らない。
いや、むしろはっきり言ってしまえば、ほぼ売れないのである。
でもこの基底部分をなす研究書を刊行し続けないと
その上に成り立つはずのピラミッドが貧弱になる。

学術出版社のはしくれとしては、こういった基底部分の研究成果を
歯をくいしばってでも何とか出版し続けていきたいと考えている。
それが長い目で見たときに、研究が進展し、学会が活性化につながり、
ひいては、学術書が少数ながらでも売れる
文化の維持につながることだってあるかもしれない。
もっといえば、法藏館で本を出したいと思って下さる
気鋭の若手研究者も現われるかも知れない。

こんなことを考えながら売れにくい学術書を出し続けておりますので、
渾身の論考をまとめられた皆様、どうぞ法藏館にご一報下さいませ。

編集T

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