独自の観点から「心の病」と向き合う   大住 誠先生
2015年 07月 28日 (火) 15:22 | 編集
プロフィール:大住 誠(おおすみ・まこと)一九五二年神奈川県生まれ。真宗大谷派法閑寺住職。大住心理相談室長。同朋大学大学院(臨床心理学コース)特任教授。
ご著書:『うつは、治す努力をやめれば治る

 皆さんは、「森田療法」という心理療法があるのをご存知だろうか。一九一九(大正八)年に森田正馬(まさたけ)氏により創始された治療法だが、二〇年間にわたりその治療法を実践し、多くの患者と向き合ってきたのが、今回ご紹介する大住誠先生だ。お寺の住職を務めながらの活動、どんなきっかけでこの治療法に出会ったのだろうか。

教育現場で出会った心理学

 大住先生は、もともと大学研究者として心理学やカウンセリングを研究してきたわけではない。「私の寺院は兼職していて、父親は教員をしていました。そういう環境もあってか、私も大学で高校教員の免許を取り、二十三年間はずっと教育畑にいたんです。ある年、教育相談の担当になりましてね、今でいうカウンセリングです。そこから、心理学や心理療法などを学ぶようになりました」。キャリアを重ねる中で出会ったカウンセリング。この間、人に学問に、関心もずいぶん広がったようだ。「私自身、長らく対人恐怖で悩んできましたから、心理学を学んでいく中で客観的に自分自身を見つめられるようになりました」。そして四十代で「大住心理相談室」を開業、本格的に治療者としての活動を展開していく。

「森田療法」とは?

 冒頭にも触れた「森田療法」とは、そもそもどんな治療法なのだろう。「簡単にいえば、生活を見つめ直し、症状はそのままにして、今できることに注意を向けて、心理的な不安を取り除いていく治療法です。心理療法は、治療者と被治療者の関係が大前提ですが、これまでの方法では両者の間に支配と依存の関係が生じやすくなります。それでは自然治癒力は引き出すことは困難にもなります。森田療法は、そうした関係性をあまり強調することはありません。悩みを吐露して内省を深めるよりも、日常生活の中で小さなことから行動を起こし身体を整えれば、自然と内面も純化されていく……もっと簡単にいえば、今そこにある生活を見つめ直すということです」。その治療法も、人によって差があるのでは?「もちろん、症状や性格によって個人差はあります。その方の状態に応じて、小さなことからアドバイスをしていきます。月におおよそ一五〇名ほどの相談を受けますが、完治の早い方でも三ヶ月ほどかかります。長いと、三~五年はかかります。でも、最終的には必ず治ります」。

生きていくヒントとして……

自信をもって治療にあたられている先生の姿に安心する方も多いのでは?「先ほども話しましたが、森田療法は治療者と被治療者の人間関係に焦点をあてません。ドライな治療法ともいえるかもしれませんが、自然で、シンプルなのが一つの特色です。日々の小さなことから行動を改善していくわけですから、それがきちんとできるようになれば、あとは自分自身の力で生活を見つめ直し、営んでいく。そこにはもう、治療者は要りませんよね?」
私たちは、できることならくよくよ思い悩むことなく生きたい。「考え、悩むことが、病を悪化させる」と断言する先生の言葉には、ちょっとしたことでもつれてしまう人間関係の見方を変える、大きなヒントが隠されているようだ。

写真キャプション : 自坊の法閑寺の中に設けた「大住心理相談室」にて。今年からは、名古屋の同朋大学でも教鞭をとられており、活躍の場が広がっている。

135『ひとりふたり‥』 2015 お盆号「著者に会いたい」に掲載
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